4日目。
水に苦しみ、9月の紅葉に悦ぶ。
Day1(■)
Day2(■)
Day3(■)
Day4(■)
Day5(■)
Day6(■)
Day7(■)
SectionA(八方尾根~親不知)(■)
SectionB(八方尾根~上高地)(■)
4日目のルートは、
針ノ木小屋~針ノ木峠~蓮華岳~蓮華の大下り~北葛岳~七倉岳~船窪小屋テン場~船窪岳~不動岳~南沢岳~烏帽子岳~烏帽子小屋(テン場)
今日はかなりの長丁場になる。。
周囲のガサゴソする物音に3:30頃に目覚め、朝食と出発の準備をする。
昨日のガスは晴れて、空には星が煌めいている。
今日も晴れみたいだ。
携帯がソフトバンクのため、山の上ではほとんど電波が通じず翌日の天気すら読み取れない。
でも、それはそれで自然に帰っていくようで心地良い。
このソフトバンク問題は前々から感じていたところだが、
北アルプスですらほとんど繋がらないということでは、遭難等、危険な状況下に置かれた場合、
確実な遭難が決定してしまう訳で。。。
ほとんど壊れかけのiphone5はドコモにそろそろ替え時。
それにしても携帯は高い。。
4:30頃、薄暗い中でモンテイン スモックJKをかぶり蓮華岳に向けて歩き出す。
勾配は急ではなく登りやすい。
頂上かと思うようなピークに到達するがさらこはピークではない。先に道が続いている。
この時点で朝陽が空を赤く染めていき、山々をピンク色にしていく。
太陽が昇るのに10分程遅刻してしまったが、美しい雲海をみることができた。
中央のちょこんとしているのはもしかして富士山か?
何百キロも先の富士山が見えているのか?
合っているかどうかはわからないが何故かとてもうれしい気持ちになった。
この3日、晴れだったためとても気持ちよく朝陽を眺められたが、
もしかしたら今日の蓮華岳からの朝陽は一番かもしれない。
それくらい、とても美しかった。
少しピンクがかったトンガリは槍ヶ岳だ。
ちょっとずつ大きくなっている。なんか、育ててる感じ。w
今回はあそこまで到達する旅なのだ。
わくわくする。
蓮華岳には若一王子神社奥社があった。らしい。。
大町の若一王子神社と関係あるのかな?
実は、朝陽に夢中になって、あまり重要視してなかった。
せっかくなら2800mでお参りでもしとくべきだった。w
山頂には小屋泊と思われる数人が既に御来光を望みにきていた。
朝のなんとも言えない瞬間を一人で見たかったが、それはしょうがない。
時間は既に5:30。
遊んでいるうちにだいぶ時間がたってしまった。せっかく早起きしてきたのになー。
ま、こういうのもハイクの楽しみってことで。
picの稜線は一見続いているように見えるが、最鞍部に向けて切り立っている。
ここからは若干緊張しなければいけない蓮華の大下り。
蓮華岳からは細かめの砂利敷き状態。
富士山の「大砂走り」みたいな感じ。延々ザレ場を歩かされ、足がヤられる。。
1時間くらいその大砂走りを下るといきなり岩岩した感じになってくる。
そして、思ったより急峻で、下りの場合、途中ルートを見失うと岩から落ちそうな場所に出たりと
かなり緊張する瞬間もあった。
落ち着いてルートを見失わないようにする必要がある場所だ。
その後はクサリ、ロープなどの岩場歩き。
ラストの長い鎖を過ぎて最低鞍部に出る。
クサリに対しては何故かネガティブな印象がない。
人の手が入っているということで、ルートの再確認だったり、
強度確認が取れれば安心して体を預けてしまう。
一瞬ではあるが岩場でルートロストしてしまったのもあって、
自分にとってはかなり緊張を強いられる場所になり、最鞍部に着いてほっとした。
写真は奥が蓮華の大下りで、谷間が最低鞍部。
こうやって見ると岩場が切り立っている。
6:30ごろ到着した最低鞍部では反対側から来るおじさまと少し話をした。
前日は船窪小屋に泊まっていたそうだ。
登りだとしてもかなり急な登りになるので、気を付けてと言い残して自分も先へ進む。
蓮華の大下りを乗り越えると一転、北葛岳への登りとなる。
こちらは概ね土のトレイルではあるけど、やはりこちらはこちらで急登を強いられる。
一歩一歩パワーハイクで登っていると一人の身軽なハイカーが下から登ってくる。
トレラン装備でやってきたようで、扇沢を2:30に出てきたという。
僕が針ノ木小屋4:30なのに早すぎないか?
因みに扇沢から針ノ木小屋まではコースタイムで5時間。
スゴイ人もいるもんだ。
その人は「じゃ!」と言ってスタスタ先へ先へ見えなくなっていった。。
北葛岳を越えて七倉岳にとりかかっている途中で、あることに気付いた。
今日はこの4日のうちで一番長い区間を歩く。
そして針ノ木小屋で汲んできた水は1.0ℓの水パックと胸に付けた500mlのOMMボトルのみ。
今日は夏らしい気候で朝からの5時間ほどで半分以上なくなっている。
既に水は残り少ない。1.5ℓも汲んできたのに。
このあとはまだ工程の半分以上あるが、この感じ、ヤバくないか?
と、水の意外に早い消費にここで気づけて良かった。
とりあえず、まだ船窪小屋によることもできるし、
少し離れた船窪キャンプ地に「水」マークもある。
そこで補給できるだろう。
七倉岳をパスして船窪小屋には向かわず船窪キャンプ場へ向かう。
9:30過ぎ、キャンプ場へ着くと「水場マデ10分」との看板がある。
山と高原地図によると渇水している場合もあるとのこと。
看板には「滑落などの責任は云々・・・」
そんなに危険なところなのか?
でも、水が足りないこの時に、水場に行かないという選択肢はない。
看板に従ってひたすら下っていくと微かに水の流れる音が聞こえる。
ロープなどをたどりながら下りていくと水がちょろちょろ流れている。
「オー助かった―」と、ちと危険な谷に下りていき、水を補給する。
ここでもソーヤーミニの実力は健在だ。
水の量、残り500mlで7時間の行動は正直きつかった。
いやー。マジで助かった。w
ここで水ゲージ満タンとなり、先ほど下りてきた道を戻り、先へ進む。
重要なことはこれから7時間以上補給区間がない。
さらに暑くなるというのに。
船窪乗越までのトレイルは美しい紅葉に囲まれた。
樹の種類が全く分からないのが残念ではあるがカエデではないことはわかる。w
こういう時に植物に強いといいなと思うのだが、その後も勉強はしていない。。
その間は結構気持ちの良いトレイルが続いている。
船窪乗越を越えると左手に不動沢を見ながら、
ちと怪しい木橋を渡ったりという箇所が何か所か出てくる。
難易度は大したことはないが滑らないようにだけする必要がある。
不動沢側に落ちたらアウト。
途中の2459m峰に11:00頃到着。
さっき水を補給したというのに、今日は直登を含むアップダウンが多く、かなり水の消費が激しい。
昨日までは黒部湖を横から見ていたのに、下流域側から見れているjことに妙にうれしさが溢れる。
そして、ここからはまた地味な下りが続く。
樹林帯の登りが地味すぎて、足元しか見ていなかった。
200m程下りきったらまたここからは不動岳への登りが続く。
ちびちび舐めるように飲んでいた水が、この時点で残り1ℓを切っているということに気付いた。
お?ヤバくないか?大丈夫か??
コースタイムでも4時間以上残っている上にこの暑さ。
途中に水の補給はなし。
ちょっと切り詰めていく必要がある。。
この途中、ものすごく爽やかなフランス人親子に出会った。
「ザ・ハイキング」というイデタチで、「ハイキングを楽しんでいるか?」と言っていた。
ここで「楽しんでいるけど、水がない」という、彼にとっては迷惑で、必要のないことを言ってしまった。
この言い方って「水くれ」と言っているようなもんだろう。
それほど自分の中で切迫した事態だったのだ。
「お兄さんはたぶん早そうだから大丈夫だと思う」と根拠のない言葉に励まされ、
「ボンボヤージュ」という爽やかな言葉と共に別れた。
やっちゃったな、しまったなぁ。。。
不動岳には13:30頃到着し、ますます水の消費の早さに愕然としている。
残り700ml程度?ヤバイヤバイ。
ここでは、僕と同じように9日間かけてセクションハイクをしているおじさんに出会った。
前年に親不知から唐松岳までを歩いて、今年はその続きなんだそうだ。
なかなか夢のあるハイキングだな~。
おじさんは20キロ背負っていて、僕の背負っている10キロ程度のザックにちょっとうらやましそうだった。
そりゃ、20キロ以上のザック背負っていたら疲れるだろう。
それより僕は自分の水が心配だ。
紅葉のトンネルをくぐり標高をずんずん下げていく。
15:00過ぎには南沢岳へ到着。
かなりアップダウンの激しい山域だ。
ここまでにすれ違った人と話した感じだと、
南沢岳までがかなり長く、ここからは意外と早く着くはずとのこと。
不動岳と南沢岳はなんだか今までとは違っていて、燕岳や白馬岳のような砂岩の山だった。
なんだか懐かしい感じをもってしまった。
それにしたって水だ。
ライフポイントが大分目減りしてきている。。
既に500mlを切った。
残り300mlくらい?工程もあと1.5時間はかかりそうだ。
うーーー。きつい。そして、暑い。
南沢岳からそろそろと下っていくと、
お? あれ、池じゃないか??
手元の地図を見ると「烏帽子田園」「四十八池」など、水を連想させる言葉が並んでいる。
急げ急げ。
おーーーー!!
まさに池!!近くで見ると透明度も高い!!
助かった~~~。。。
この時点でボトルに残っているのは残り100ml程度。
ホントにひと口分程度しか残っていなかった。。
なぜ助かったかというと、今回は浄水器「Sawyer mini」を用意しておいたのだ。
こいつは55g。
小屋が多いから使う機会はないかと思いつつこんなところで最高の登場の仕方。
Sawyer mini
HPより
《ソーヤー プロダクツは1984年の創業以来、"紫外線"や"水"、"虫"や"怪我"といった世界中で多くの人々が直面する問題の解決に取り組んできました。
特に近年は低開発国で大きな死亡原因となっている「汚れた水」と「蚊」に対して有効な対策をうちだす事に注力しています。
新しく開発した浄水フィルターは高度な腎臓ろ過技術を応用して開発され、小さく軽量で使いやすく、薬品や動力を必要としない上にフィルターの交換が不要 で、有害な病原菌を99.99999%除去できる世界最高レベルの製品です。米国環境保護局(EPA)の基準を上回る他、国連でもその効果が認められ世界 70ヵ国以上で使用されています。 》
小屋の水の補給で煮沸必要との表示のある場合は使ってはいたが、
まさか池で使うことになるとは。w
でもほんとに助かった。
ここから1時間くらいはまだ歩かなくてはならない中、ここで水が補給できるのは最高だ。
そして、喉をたっぷりと水で潤したら、頭にその水をかける。
3日以上風呂に入っていない状態なので気持ちよすぎた。
水の心配さえなければススキにだって目がいくさ。w
池糖のせいだとは思うがなんだか四十八池は尾瀬のようなところだった。
既に時間は16:30。
烏帽子岳はパスする方向で山頂分岐を目指す。
そこから30分程度で烏帽子小屋だ。
もうちょい。
山頂分岐を過ぎて少し行くととうとう青い屋根が見えた。
ふーーー。もう安心。
あとはひたすら下って青い小屋の烏帽子小屋に到着。
時間はちょうど17:00。
今日の行動時間は12時間を超えた。。
水の件含めてかなり疲れ切った。
小屋でビールと受付しようと思ったら、桃缶が目に入ってしまった。
一缶600円する高級品。
ゲット!w
そりゃ迷わないでしょ~w
疲れ切った体でテント場を探しに。
烏帽子小屋のテン場は広い場所がどーんとあるわけではなく、
3~5張くらいの場所が数か所に別れている感じ。
自然とテント同士の距離も確保できていい感じ。
虫が出るんじゃないかとみんなが敬遠していた一段あがった池のほとりにテントを設営。
速攻で準備をしてビールを飲んでぐったり。。
夜、若干曇ってはいたが、月が出ていていい夜だった。
Day1(■)
Day2(■)
Day3(■)
Day4(■)
Day5(■)
Day6(■)
Day7(■)
SectionA(八方尾根~親不知)(■)
SectionB(八方尾根~上高地)(■)
おまけ。
夜、事件が起きた。
20:00前にWCに行こうとヘッドライトをつけていったのだが、
普段財布は必ずパンツかJKのファスナーなりにフックをかけるのだけど、
ビールで気持ち良くなってそんなことをおざなりにしてしまったのだ。。。
財布をJKの右のポケットにねじこみ、寒いので当然手も突っ込む。
WCでトイレをしようと思って手を引っ張り出したその時、
「ポロリン」「スタッ」
ぼっとんの中にそれが。。。(紙の上だった)
これ以上は詳しく描写しないが、、、
このあとスタッフさんに格闘して頂き、なんとか財布が戻ってきたのだけど、、、、
それにしても、ここでも下手したら旅が終了して、家にも帰れない事態になるとこだった。。
スタッフさんほんとにありがとう。
いつか再訪する時にはなにかお土産をもって行こうと思う。。