3日目。
昨日ビバークしたにもかかわらず、再度ビバークすることになるとは。。
この時は想像もしていなかった。。
Day1(■)
Day2(■)
Day3(■)
Day4(■)
南アルプスSsctionA(黒戸尾根〜広河原)(■)
3日目。
もう少し行きたかったのだけど、
思っているより残雪は時間が読めなかった。
高望池(ビバーク)〜横川岳〜野呂川越〜三峰岳〜間ノ岳〜中白根山〜北岳〜北岳肩の小屋(ビバーク)
3日目
4:00起床
テントを畳み、出発の準備をする。
改めてみてもいいテント場(ビバーク場)だったなぁ。
昨日ネックに感じていた池の水をソーヤーミニに汲んでおく。
ホントこいつもってきておいて良かったよ。
躊躇せず水を使うことができるから。
ビバーク地のゴミ達。
なんか胸くそ悪くなるね。
正規のキャンプ場じゃないけどやっぱり泊っている人もいるみたいだ。
どんなやつなんだろ?
ビンとかカンとか放置していくヤツって。
絶対に自然に帰るものでないのに。
5:45。
とかなんとかやって、出発。
早朝のまだ雪が締まっている時間ですら5歩も歩けばこんな感じ。
ほんとこのツボ足はどうにかしたい。
こんな時はワカンかスーパーカンジキだなw
売っちゃったけど。。
遠くには中央アルプスが見えてる。
目の前には北岳と間ノ岳がそびえてる。
そっかー。あそこまでいくのか。。
7:00前
横川岳に到着。
看板、かなりヤレてるねw
相変わらず樹林帯をいく。
振り返れば仙丈ヶ岳や甲斐駒ケ岳は遥か遠く。
全くよくも歩いてきたもんだ。
7:30前。
野呂川越に到着。
ここでは両俣小屋と間ノ岳との分岐となる。
もちろん間ノ岳方面に歩き出す。
野呂川越あたりはこのあたりでの一番最鞍部になっていて2300m程度の標高だ。
だから樹林帯の中もほぼトレイルが出ていて、雪はない。
しかし、少し歩くと標高も当然あがり、残雪も出てくる。
このあたりなんかハイマツにかかった雪が固まってるだけで
ここはトレイルじゃないからね。
ホント気をつけて歩かないと真っ逆さまだよまったく。。
危ない「仮トレイル」でさらに急傾斜になっている。
このあたりで、お?
一人こっちに向かってきた人が最近いたことに気付いた。
もしかしたら両俣小屋方面にいったのかもしれないね。
雪はどうしても吹上げの風がくる北側の斜面についてしまう。
結構な雪庇が育ってるよまったく。
あそこ歩いてきてるんだからなかなか危険だよね。
もちろん、正規?の夏道を歩くことができる場所もある。
そんな時はのほほんと歩いていられるんだけどね。
ハイマツ帯を颯爽と歩いてこれたんだけど、夏道は所々、残雪によって途切れる。
ここは難関だったトラバースの一つ。
角度は45度?わずか20mだけなんだけど、角度がエグい。飛び地も見当たらない。
どう見渡してもココしか渡れる場所はない。
下にはクッションになるハイマツどころか、傾斜はえぐれながら巻いていて、
滑ればどこまで落ちるのか想像がつかない。
勇気が出ない。
足先を最もアイゼンが効きやすい方向へ向け、一足毎にステップを切る。
「ここだけは時間がかかってもいい。」そう呟きながら歩き出す。
「ザッ…」足元のザレ雪が嫌な音を立てる。
全ての一歩に集中して渡りきる。
心臓は早鐘を打つが、僕の満足中枢がジワーッと満たされた感覚。
ヒリヒリとした瞬間の一つ。
三峰岳の手前はホントにいやらしいアップダウンと、
崖のような岩場登りを強いられる。
結構手こずる場所だ。
奥で雪をかぶっているのは、甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳。
そのさらに奥から歩いてきた。
ツライ傾斜に当たるたびに、後ろを振り返ってみてよくぞここまで。
と、ヒトリ悦に入る。
するとなぜだか、まだまだイケると変な勇気が湧いてくる。
岩をよじり登った直後で顔面が疲れすぎてそうは見えないが
この時ドーパミンはドバドバだったはず。
11:00。
三峰岳に到着。
ここまで結構大変だったからか、妙に達成感はあったかも。
コースタイムは、山と高原地図とほぼ変わらない。
昨日から薄々気付いてはいたが、夏道なら75%程度で歩けるのに対して、
残雪帯に入ってしまうと、90-95%くらいのスピードになってしまう。
そのあたりを見越しておかないと後々大変なことも起きかねないなと。。
ピークを過ぎたあたりでもいやらしいリッジが続く。
途中、ロープをそのままにしたのを見かけた。
そうか、このあたりは確保しながら登り降りする場所だったのかw
妙に納得。キツい訳だw
Ridgeをゆく。
三峰岳を過ぎたここからは3000m峰の間ノ岳へ向かう。
左側は右俣沢へ大雪庇がせり出し、右側は農鳥沢への大カール。
一歩一歩踏みしめて。
風は強いが晴天。
所々デンジャラスではあるが、最高の稜線歩きだ。
12:15。
間ノ岳到着。
ピーク周辺はとてもフラットでいつまでも居たくなるような場所だった。
3200mか。
えらい高いトコまできたなと印象w
逆を見ると農鳥岳に至る尾根が続いているが、北岳方面へ急ぐ。
ここからは北岳に向かって歩き出す。
コースタイム的にはなかなか怪しい感じ。
もしかしたら今日もビバークの可能性あり。
と、急いでいて、途中のトラバースでとうとう滑落!
やるかな?やるかな?
お、お、、、、サーーーーーー!!って感じw
中央の、ケツ痕の滑ってる痕ね。岩蹴って止まった痕が見えると思うw
そりゃ、この傾斜で滑らない方がおかしい。
とは言いつつ、三峰はもっとキツかったのだから、
あそこで滑ってなくて良かったなと心底思った。
ここも、岩のあるところで良かったよ。
あの岩蹴れば止まるなって冷静に思えたから。
13:30。
間ノ岳と北岳の間に位置する中白根山に到着。
目の前のデカイのが北岳。
途中にあるのが北岳山荘。
ま、100%やっていないことは予想してるけど。
蕎麦とコーラを体が欲しがっているのは変わらない。。
北岳、間ノ岳、農鳥岳は白峰三山と呼ばれていて、
岩稜帯としても有名。
北岳、間ノ岳なんて日本で高い山ランキングNO.2,NO.4だもんね。
だから当たり前のようにキツくて。。
かなり岩岩した恐竜の背骨みたいなとこを歩く必要がある。
そして、当然夏道が途切れるところも数カ所あって、
恐怖のトラバース箇所もある。
でも、滑落してからは、トラバース地は大回りしてでも全力で避けるようにしてるけどね。
15:00。
北岳方面と八本歯のコル方面への分岐到着。
この時点で、できれば今日中に広河原へ降りておきたかった。
頭の中では、再度登り返して、鳳凰三山を歩くつもりでいた。
でも、ここまできて北岳を登らないなんてのも勿体ないような気もした。
地図の危険マークと標識の滑落注意の表示がちときにはなったけど。。
と、いうことで北岳へいざ!
歩きはじめて初めて意味が分かった。
怖いのは大きな石や雪じゃなかった。
急傾斜の中、ルートが雪で途切れてしまい、
雪ではなく、ルート外の小ザレに苦戦。
落とした岩は跳ねるたびに速度を増して落ちていく。
危なかった。。
この小ザレが、滑る。もちろん滑ればアウト。
そしてルートが途切れる。
つまり、バリエーション的に岩をよじ上る必要がある。
デンジャラス!!
タイミングがいいと遠くに富士山も見える。
振りかえれば間ノ岳とココまで来た道のりが広がる。
15:30。
ようやく北岳に到着。
ここにくるまでは、ピストンで先ほどの分岐に戻って八本歯のコルから降りようと
目論んでいたが、そんなことができるはずもなく、
先へ進むしかなくなっていた。
だって、あのザレ場をもう一回通るのやだ。。
北岳ピーク北側というかカール側?は雪だらけ。
3193mもあればそりゃそうか。
まずは北岳肩の小屋へ向かう。
先のことはそこへ行ってから考えよう。
北岳から降りるのも、なかなか一苦労。。
16:00。
両俣小屋分岐に到着。
ここからはバリエーションルートになるが両俣小屋へ続く尾根がある。
でも標高3000mのバリエーションルートってかなりヤバそうだよねw
気にせず肩の小屋へ向かう。
おーー!
見えた!肩の小屋だ!!
でも、、それよりもそこへいくまでのルートが見えない。。
夏道は完全に途切れてしまって、岩場箇所はとてもじゃないが岩が脆過ぎて
歩けるような場所じゃない。
THE崖。
となると、このクサリを頼りにして少しづつ降りるしかない。。
なんとかそろそろと降りると足下はすべるすべる。
脱いでいたアイゼンをここでアクロバティックに取付けて。
最後のクサリまできてようやく上方向に登りながらトラバース。
あのトレースのあるところねw
なんとか降りきった。。
残雪がホントに厄介だよ。。
16:30。
時間的にも迷った末、北岳肩の小屋でビバーク。
またビバーク。。
実はこの後行く先の方へ偵察に行ってみたんだけど、急傾斜の雪だらけのように見えて
心折れたというのが正直なとこ。
ここから太陽も落ちて暗くなっていくというのに、
トラバースなんてあってルートファインディングが必要なんて怖すぎる。。
肩の小屋のできるだけ建物に近いところに陣取り、テントを設営する。
まさか雪山テント泊になっちまうとは。。
3000m稜線上には音がない。
テントがはためく音だけ。谷川岳の時を思い出した。
明日は稜線上30mを超える暴風というのに、とても静かな夜だった。