4日目はこんな感じ
天狗の奥庭〜東天狗〜根石岳〜夏沢峠〜硫黄岳〜横岳〜三叉峰〜赤岳展望荘〜赤岳頂上山荘〜赤岳〜キレット小屋〜旭岳〜権現岳〜権現小屋
天狗の奥庭の奥のさらに東から登る太陽。
朝が来た。
昨夜は今までの夜の中で一番凍えた夜だったかも。
完全に寒さに震える夜だった。
いつ寝れたかさえ記憶にないが、8時間ずっと起きていた感じもないのでところどころ落ちてはいたのだと思うが、
とにかく寒かった記憶しかない。
今日はがっつり歩いて、新宿で知り合いが飲むというので夜中に到着できるようになんとか間に合わせたい。
うし。
4:00起床は今までで一番早い。
なぜなら寒過ぎたからw
テント内の水モノは全て凍っている。寝袋の中に入れた水袋も凍り付いている。
今日をラストデイとすると、今ある食糧なんかはほぼ食べ尽くしておきたい。
今日は赤岳なんかも登るので最軽量で臨みたいところではある。
お酒も飲み干せたしw
相変わらずダラダラやって諸々準備が整い、出発できたのは5:50頃。
目標より少し遅い。。。
まぁ、樹を取り直していきますか。
今日からはスノーシューではなく、数年ぶりに使う安物の12本アイゼン。
そして、出発当日に買ったピッケル。
この二つが活躍してくれるはず。
寒いのも終わったし出発。
東天狗の方へ少し歩き、見下ろす天狗の奥庭。
僕が凍えていたのはたぶん、中央の少し下あたりかな?w
朝の東天狗。
雪は締まっていてアイゼンもよく効くし、照らされる山々は美しいしで最高の朝を迎えている。
予想通り今日は快晴。
最高な一日になりそうな予感しかない。
東天狗に登ったのはちょうど2年前のあの宴会ハイクの時以来かな?
あの時はチェーンアイゼンで登っていたんだっけw
まぁ、今考えてもそれで十分な気もしなくもない。
この日一番怖かったのがこの場所。
東天狗から根石岳に渡る場所なんだけど、4本立っているポールのところがグレーチングでできたお立ち台。
冬期のみ使われるテラスみたいなところになっている。
その先は長さ7〜8mくらいかな?
稜線上のナイフリッジみたいになっていて直立する幅分くらいしかなかった。
昨日少し雪が降り積もったみたいで新雪が10センチくらいはついている。
この時ばかりはロープがあったらなと思った。
とにかく進まないと先へ行けないので進んでみるが、ちょっとブルってしまう。。。
左は完全に崖で右は急斜面でこちらも落ちれない。
幸いなことに風がそんなに吹いていなかったので良かったけど、
普段はここは強風なんだという。。
そろりそろりと歩くけど、重心が高いのが不安になり徐々に座りながら歩く。
手も使う。
一足づつ一足づつ。
時間にして10分くらいだったかも知れないけど恐ろしかった。。。
恐ろしいナイフリッジをやり過ごすとまた先へ道が続いていくことに嬉しさを覚える。
箕冠山は軽くパスして夏沢峠へ向かう。
箕冠山をパスすると反対側から来た人なのかスキー板でのハイカーのトレースを見つける。
どうやら夏沢峠の方まで続いているらしい。
この途中、100ℓくらいのザックを背負った若者とすれ違ったのだけど、
「赤岩の頭」周辺で雪崩という情報をもらった。
通りはしないけど、同じように雪崩についても注意しようと樹を引き締める。
スキーヤーのトレースを辿って8:00前に夏沢峠着。
ここには何度も来ているので何の感慨もなく硫黄岳へ歩を進める。
硫黄岳か。。。
確かかなり急斜だったよなぁ。。。
一昨年の雪が少しだけ降り始めた12月に行ったんだっけか。
硫黄岳の中腹から来し方を見る。
結構歩いてきたね。
下には夏沢峠。
もう美ヶ原なんて見えやしない。
ハイカーあるあるだとは思うけど、自分がここまで歩いてきた道を振り返ると愛おしくなるw
さて、硫黄岳までラストスパート。
9:00前に到着した爆裂火口と山頂ケルン。
相変わらずかっこいい。
おやっ?と思ったのは思ったより雪が少なかったこと。
なんでなんだろ?
そして、最高なのは風がほとんどないこと。
前回の時は爆風が吹いていてほとんど山頂にはいられなかったという記憶しかないからね。
前はここから赤岳鉱泉へ降りていったのだけど、今回違うのはここから横岳方面へ行くこと。
夏に歩いたことはあるけど、残雪期の横岳、赤岳ってどうなんだろ?
ワクワクする。
横岳周辺。
荒々しいねw
硫黄岳山荘への稜線上はけっこうなだらかな緩い傾斜で歩きやすい。
横に立っている植生保護のためのポールがあるのでトレイルも見失うことはない。
もっと雪が積もると難しくなるのかな?
硫黄岳側から来ると、この大同心が凛々しく見える。
夏に来ると、こんなとこどうやって登るんだろ?と思わずにはいられないんだけど、
冬期は吊り尾根状にトレイルがつながり歩くことができるみたい。
実際大同心を歩いてきた人と話をさせてもらったんだけどそんなに難しくないともいってたし。
でも、いいやw
簡単でもないし、その先へ続くトレイルがあるわけでもないし。
10:30頃
積雪時用に架けられているはしごを登りかにの横ばいをやり過ごしようやく横岳主峰へ到着。
横岳は岩礁帯が連なって出来る連山の総称なんだと。
硫黄岳が9:00なのでコースタイムより遅い計算。
これは。。。
気を引き締めないと、結構ヤバいかな?
先に見えるのは奥の院?鉾岳?
かっこいいんだけど、とにかく岩稜帯具合いが激しい。。
まだまだ危なそうな場所が続く。。
ガスが少し出ていてクリアではないけど、遠くには富士山もみることができた。
富士山が見えるとなぜか元気がでる。
この途中の広めの稜線は気持ちがよかった。
でも、下を見ると。。。
横岳で一番怖かったのがこのトラバース地帯。
よくみると中央にあるのはトラバースしたトレース跡。
かなりの勾配部分を水平に渡っている。。
それは危険かなと思い、自分はPicの左上に向かってトラバースすることにした。
アイゼンを斜面に対して水平にするのが一番危なく感じるから。。
ここは危険な場所だった。。
二十三夜峰?
さらに危険な場所は続く。
このトラバースも雪が気温でグズグズになりかけている上、長めになっている。
このとき反対から渡ってきた人と話していたが、かなり危険だと言っていた。
こういう時に細くてもいいからクサリに確保ロープがあるとこういう場所もひとりで安全に渡れるなぁなんて考えてた。
ま、無いものはしょうがないんだけど。。
一歩一歩足下とピッケルの刺さり具合を確かめながら前に進むことだけを考えて渡る。
トラバースを渡りきってしばらくいくと地蔵の頭に到着。
このあたりは安全。
岩稜帯まで来ると、基準が「安全か危険」の2種類しか考えなくなってくるw
この地蔵尾根から上がってくる人たちは、それはそれは晴れやかな顔をしていたなぁ。
行者小屋側から登ったことが無いのでいつか歩いてみたいな。
でもかなりキツそう。。
12:00過ぎに赤岳展望荘に到着
コースタイム1時間のところを1.5時間かけてきたみたい。
やっぱりトラバース部分で時間を食ったかな?
でも焦ってミスするよりずっといいんだけどね。
展望荘では腹も減ったし、少しでも食料を減らそうかと思い、赤岳を前に大休憩。
一風堂ラーメンw
2800m以上で一風堂が食えるとはねw
少し風が出てきて風防が無かったのでマップで風よけにしてたらマップが火事になって溶けたw
しかも丁度これからの赤岳部分がw
ま、そりゃそうなるかw
疲れていて、よく考えるということが億劫になっているのかも。。
こういう状態が一番危ないんだよな。。
気をつけねば。
40分くらい大休憩して、赤岳へのラストアタック。
ここの九十九折れが長かった。
13:30。
念願の赤岳に到着。
丁度居合わせた山岳カメラマンの方に写真を撮って頂く。
顔面黒いなw
とにかくここまでこれた。
結構感無量。
実は赤岳からどういう風に帰ろうか迷っていた。
できれば今日の夜中でいいので新宿に辿り着きたい。
でも八ヶ岳の橋へ向かって歩きたい。
んーーー。
せっかくなら権現岳へ行こうか。
陽のあるうちに権現岳に着けばその先はヘッデンでも帰れるでしょw
なんて軽く考えていたのが不幸の始まり。
本当にこの判断は甘々だった。。
事故が起きていてもおかしくなかったので反省。。
権現岳へ数歩進んだだけでもう一回本当に良いのか考えた。。
理由は簡単。
ノートレースなのだ。
そして岩感が半端ない。
そりゃそうだ。
八ヶ岳の中でもそんなにポピュラーでもない山(自分だけ?)ではあるが、よく考えれば赤岳とつながる山なんだから。
それなりに岩稜帯が続いていてもおかしくはない。
単に自分の知識不足ってだけ。
でもトレースが無いってっていっても持ち前の「なんとかなるでしょスピリット」を発揮して行くことを決める。
現在14:00
歩き出せばすぐに舐めていたらヤバいということに気付く。
こんなクサリ有りではあるがデンジャラスなトレイルもあった。
先に見えるのは小天狗だろうか?
とにかく足下がむき出しの岩でアイゼンで歩くのが非常に煩わしい。
こけそうになったりしながら脱ぐことも出来ないアイゼンで慎重に降りていく。
標準コースタイムで3:30かかるので14:00からすれば上手くいって17:30。
ま、下手したら18:30で暗くなっても未達ということもあり得る。
今考えればどう考えても今日中には帰れないのはわかるのだけど、この時は変なモードになっていたみたい。
危険な兆候。
こうやって振り返ることで次のシチュエーションでは同じことは繰り返さないようにしたいという意味合いも強い。
権現岳へいくことでキツかったのは、偽ピークが多くて結構ココロ折られるところ。。
こいつもそう。
最初はこいつが旭岳かと思ってGPSを確認すると全く検討はずれでまだまだ先に旭岳はあるという。。
しかも一日の後半にもなり、結構キツくなる時間帯だったのもある。
とにかく、進む度に息があがって立ち止まって休憩を入れるのだが、
空気が薄いということもあると思うけど、なかなか復活できない。。
16:30頃。
ようやく中間地点を過ぎたあたりの「ツルネ」
本来ここは展望が良いということになっているけど、少しガスが出てきた。
この辺で「ちとヤバそう」と焦ってくる。
遠くに見えるのが権現岳と願いたい。。。
見る間に立ちこめるガスと陽の落ちる前の低い位置からの西日によってブロッケン現象が見えた。
どうということはないけど初めての経験。
[ブロッケン現象]
ブロッケン現象(ブロッケンげんしょう、英: Brocken spectre)とは、太陽などの光が背後からさしこみ、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、見る人の影の周りに、虹と似た光の輪となって現れる大気光学現象。
光輪(グローリー、英語: glory)、ブロッケンの妖怪(または怪物、お化け)などともいう。(Wikipedia)
自分の中の権現岳の最後の目印として「長いハシゴ」があった。
このハシゴに至るトラバースも嫌らしかった。
そろりそろり。。
17:30にようやくこのハシゴまで達することができた。
陽が完全に落ちるのが18:00前なので急がなければ。
この時点で今日中に東京に戻ることは出来ないだろうなと予想していた。
ココロでは、食料は何があったろうか等と考えていた。。?
階段を登る直前に見た夕陽。
三角形なのは西岳だと思う。
Picでもそこそこ美しいけど、実際は相当美しい夕陽だった。
このあとすぐそこにある権現岳のピークを踏み、すぐに下にある権現小屋で陽の落ちる10分前にビバークすることを決め、
なんとかしてテントを張り、ビバークをキメ込むことにした。
その時には当たりはガスが立ちこめ、風速は恐らく10m/sを越え、本当のビバークタイムを過ごすことになった。
ギリギリあったガスで湯を沸かし、朝の分はなくなった。
残っていたラーメンで腹を膨らませ、20:00には就寝。
寒さは当然寒いが、外の風がひどくなってきているのが心細かった。。。
ポールが壊れているため、何度もテントが崩壊してしまうのもなにかの冗談かと思うことにして、
とにかく眠ることにした。。
明日、天気は大丈夫か。。。
完全に計画をミスった。。。
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