これが1日目、スタート1分前に渡されるOMMのマップ。
受付となるパルコール嬬恋は中央の赤い斜線横の濃いオレンジの脇のグレーの建物。
磁北線の下にゲージがあるがこれが2㎝=1キロなので、
長距離となる①⇔②、⑦⇔⑧はピンクの直線距離で約4.5キロ程度。
まぁ、あくまで直線距離なので実際は登山道を走ることになり×1.5~2.0倍として
距離的には6.75~9キロくらい。
これに獲得標高が加わるので体力的にはかなりの消耗度となる。
全て走っても回り道、道迷い等予想されるため、
30~35キロ/1日くらいは間違いなく走ることになるだろう。
昨夜は結局、パートナーと同じ部屋だったのと、興奮と緊張からたぶん1時間程の睡眠時間。
別に体調の悪いところはなさそうだ。
自分たちのスタート時間は8:00-8:14で、スタートエリアはホテル前ではなく、
昨日前夜祭としていたパルコール嬬恋の中庭から約45分ほどかかるという。
バイキング形式で朝食を食べ終え、7:00過ぎにホテルを出発する。
横にはスキーのリフトが立っていて、目の前はスキー場で緩い坂がはじまる。
気温は3~4度程度くらい。シェルも既に着込んでいるので歩いている分には寒くない。
風もあるにはあるが当初恐れていたような暴風というわけでもない。
昨日の夜から降り続く雨がレインジャケットをすぐさま濡らす。
気になるのは、レインジャケットに撥水処理をしてこなかったこと。
既に表面に雨が浸透しようとしている。
これは早々に結露が発生するかも。。。
降り続く雨によって足元はずるずるの泥濘状態。
これは、これから登るであろう頂上付近もどろどろが予想される。
急遽持っていくことにした98g傘がこの歩きでは役にたった。
天候を見て、この雨がテン場でも続くのではないかと予想し、
重いわけでもないので持っていくことにしたのだ。
ぞろぞろと続くストレートレースへの参加者たち。
皆、下を見てもくもくと歩くばかりだ。
心の中で、この先がさらに厳しくなるだろうことを予想していたのだろう。
スタートエリアではロングとショートのエリアに分かれており、皆、一番早い8:00のスタートを待っている。
あまり待ち時間が長くなりすぎると先ほど登りを登ってきた時にかいた汗で体が冷えてしまう。
皆、スタートに備えて靴紐の確認をしたり、各々装備を整えるのに余念がない。
ウェーブスタートで始まるため、僕らもロングエリアに並びスタート1分前にマップを渡され、
係員のもつスタートポイントをチェックすればとうとうスタートだ。
ホテルのあるパルコール嬬恋は1450m。今スタートした地点が1850m。
誰もが予想してなかったが、15分もすると、どの組もとりにいく①のポイントへ行く前に
あたりは白い世界へ変わっていった。標高は100m上がったかどうかというあたりだ。
足元には薄氷がはり、視界が狭くなり遠くを見渡せない状況で濃霧も発生している。
いきなりのスノーステージで既に手強い。。
①の設置された場所は浦倉山ピークのため、パートナーと現在地の確認を行い、
迷い込みそうな道も特にないため、ガシガシとハイクを続ける。
記念すべき1ポイント目だ。ナイスパンチ!
ここまでは単純な登攀だっため、他とは特に差がつくような要素はないが、
ピークに到達したここからはかなりラン要素が必要とされる。
粉雪に吹かれながら②を目指す。
②は隣の山土鍋山だ。
②へ向かう序盤で前回の優勝チーム柳下さんチームに抜かれる。
こりゃいい。ナビをお願いしてしまおう!と思い、後ろを追いかけスノーランを続けるのだが、
自分のシューズのHokaoneoneはラグもなくなりかけていて滑る滑る。
つるつるつるつるしてしまい、なかなか足を踏ん張れない。
追いかけては行くのだが、さすが前回優勝チーム。すぐに見えなくなってしまった。
とすると、戻ってきた!間違えたのだ。
分岐を過ぎているのに気が付かず(自分たちも。。。)、ここでロスし、
後ろから来るランナーに先を越される。
ここで焦ってもしょうがないし、追い抜けるようなパワーをここで出すわけにもいかないので、
マイペースを保ちつつ、あとを追いかけていく。
①をとってから長いアップダウンをこなして1時間程すると、
土鍋山への看板がちらほらあらわれてきて、
それらを確認しつつ土鍋山のピークに達して②を取る。
ここからはA,B,C,Dのうち3ポイントを取ることになっている。
B,Cについては間違いなくどのチームも取りに行くことになるかと思うが、
迷うのはA,Dのどちらにするか。
Dについては標高間隔が短く、車道もクネクネしていることから急勾配というjことがわかる。
これは距離的には近いけど、罠じゃねーか?とか言いながら我々はAを選択した。
Aは等高線の間隔が開いており、若干距離はあるにせよ、
帰り道を楽に帰ってこれるのではないかという判断からだ。
《リザルトから検証》
あとから聞いた話では柳下さんチーム、先日八ヶ岳ロゲイニングでお会いした山田さんチームは
どうやらB,C,Dをセレクトしたようだ。藪漕ぎでDを取ったかは定かではないがAはとらずに進んだという。
まずはA,Bを分ける分岐のある破風山を目指して走る。
走っているうちに途中の分岐に差し掛かりAのある乳山牧場へ下りていく。
下りは勾配は大きなく予想通り走って降りられるような下りだ。
駆け下ると、車道といっていいような道にぶつかってしまう。
実はこれで混乱した。
目の前の道は、明らかに車道のような道なのだが、
地図上には明らかな道とは書かれていない。
うむむ。。
立ち止まり、考えていると後から来た選手に抜かれ道を上がっていく。
それをみて僕らも首をひねりながら後についていくとAに到着した。
合ってたのかぁ。。。
Aを取った後は予定通りBへ向かう。
走ることはできないが、パワーハイクでガシガシ歩けるようなゆるめの道を破風山へめがけて歩き、
今度は破風山から急勾配を下っていく。
このくだりでもぬかるんだ足元に靴をつるつると滑らせ、何度もこけてしまった。
途中、クネクネとしたシングルトラックで足を滑らせ、谷側へ派手に転んでしまった。
今思えばここでサーモスの水筒を落としてしまったのだと思う。
今回採用したZimmerbuilt Pikapackは背面に大きなメッシュがついていることが特徴だが、
それをゴムを引いて強く締めることを忘れてしまっていた。
なので口が開いた状態となり、落ちてしまったのだと思う。
あとから、温かい飲み物を飲もうと思っていたのでとても残念な気持ちになった。。。
まぁ、ともあれ下りきると暴風吹き荒れる毛無峠に着く。
スタッフが待機されている峠でBを取り、暴風雨の中、車の陰に隠れて小休憩。
他の選手も続々とやってくる。
ここは本国UK以上の状態だったという。ものすごいバイオレンスストームだった。。。
補給を終えると時間ももったいないのでCへ向けて出発。
Cは実際道沿いにあるため難なくとることができた。
さて、ここからはさっきまで下ってきたところを、ピストンでひたすら戻るコースになる。
《リザルトから検証》
リザルトを見ると、ここまでは2:56だった。
完走した22チームと比べてもちろん後ろから5番というレベルだが、
同じような時間で到着していることがわかる。これは特に遅いというわけでもなかった。
ピストンコースを⑥目指して戻っていく。
見たことのある風景とさきほど下ってきたかわりに、強烈な登りが待ち構える。
なかなか簡単ではない。体は既にこの時点でかなり疲労してきている。
エネルギー補充にクリフバーやジェル系を口に入れる。
登りをこなして⑥をとってエネルギー補充している間にRBRGの桑原さんとアンディーさんに出会う。
二人はまだまだ余裕そうだった。
《リザルトから検証》
リザルトからここまでスタートして4:00だ。完走22チームと比べると下から3番目。
ま、この時はそんなこと知らないんだけど。。
知っている二人に会い、自分も少し元気になって次の⑦へ向かう。
二人に途中で抜かされ、ほぅほぅそうかそうかと思いつつ先へ進む。
二人とも100キロを走ることのできる肉体をもっているのでまだまだ余裕なのだろう。
ピストンで戻っているため、⑦とは地図上にある朝に取ってきた①のことだ。
朝下ってきた登山道を、今度は長い登りとして登っていく。
這う這うの体で⑦(①)に到着し、パンチする。
この登りで体力はかなり消耗した。
《リザルトから検証》
ここまでスタートしてから5:29。
完走22チームと比べると下から3番目。もちろんそんなこと知らないんだけど。
⑦(①)からは今度は下り基調で走らなくてはいけない区間。
⑧へ向けてぽつぽつと走っていく。
僕自身は、緩めの下り基調なため、「おぉ走れてるわ」と思っていたが、
僕の下るペースが遅いためどんどん抜かされていく。
トレイルレースでも思ったが、僕は下りが早いわけではないんだと再認識。
パートナーも口で励ましてくれるが、「ずっとこのペースですよ?お先にどうぞ」と
他の選手に道を譲っているところをみても、
恐らくこのペースにストレスも溜まっていたのではないかと推測する。
彼自身はきっともっと走れるはずなのでひたすら申し訳ない。
が、できることを一生懸命やるしかないので走り続ける。
⑦→⑧の中間地点で尾瀬のような雰囲気の「野池平」という場所に出る。
野池平をまわりながら、走っていく。ここは木道になっていて、なかなか気持ちよかった。
いくつかの橋を渡った後、そのまま進むと道がループして今走ってきた方向へカーブして戻っている。
何か違うと感じ地図を見ると、やはりどこかに分岐があるはず。
これはKさんの素早い気づきだった。
ここへはもう一つぐるりと周る道もあるため、前から他の選手が走ってくる。
インスタのフォロワさんの一人で自分の足の心配をしてくれる。
良く考えたら、ここまで足は痛いは痛いが、絶望的な程ではない。
それはテーピングをきっちりしてきたし、腸脛靭帯のサポーターもしているし、
何よりロキソニンを飲んでいる。
どれが効いているのかはわからないがひどく痛むことはない。
ロキソニンは1.5時間に1錠飲んでいて、既に4,5錠ほど飲んでいる。
目安は1日2錠で痛む場合でも3錠が限度となっているのであまりいいことではない。。。
とにかく先へ急ぐ。
途中、二人で「マッドモンスター」とかいいながら泥濘の中を駆け抜ける。
僕は転びながら。。
ようやく⑧を取るための現在地把握ができる車道の切れ目の道に出た。
時間は14:20くらい。目の前の森の中に⑧がある。
ここからは初のコンパス直進が必要となる場所。
磁北を合わせ、地図の向きを見ている向きにし、今度は地図上の現在地から目標地点へ線を結び、
コンパスの向きに印を合わせておく。そうすればコンパスに描かれた矢印方向が進むべき道だ。
ここでのミスはKさんとお互いコンパスの直進方向を合わせなかったことだった。
今から思えば二人のコンパスは若干ずれていたようだった。
そのため、互いに自分のコンパスしか見ておらず、
「まぁ、あとから来るだろう」として先へ進んでいるうちにKさんはいなくなっていた。
地図とを見比べるとすぐ近くに⑧があるはずなので、特定してから戻ることにした。
近くにスタッフがそれとなく立っている。うろうろすると、あった!
僕のコンパスは合っていた。しかし、Kさんがいないためパンチできない。
ここでKさんを捜しに戻るがどこにもいない、
結局最初の道に戻り名前を呼び続けると道の近くで発見した。
Kさんも恐らく自分のコンパスしか見ていなかったのだろう。
お互いがお互いを見失ってしまった。
これは大きなミスなのだ。
よく考えれば微妙なラインではあるが失格の可能性すらあった。
まぁ、ここで会えたことを由として先ほど見つけた⑧へ向かい、
それほど時間をかけずに⑧をパンチする。
次のミスは⑨へ向けて行くときに戻ればよかったものを、
背の高さもある笹の海に向かってしまったことだった。
ここで僕は自分の地図をなくしてしまい、Kさんにも一緒に探してもらい、
結果、もときた道へ戻ることになってしまった。最初から戻ればよかったのだ。
ここでもとの車道の切れ目に戻って時間は16:00。ゴール関門は18:00。
森の中はこれからさらに暗くなるだろう。
Kさんからはここでデッドラインを引こうとの提案を受ける。
このまま⑭のテント場へ戻ろうということだ。
このまま行っても時間内に戻れないだろうということ、
可能性として⑨⑩がとれたとしてもその先をパスして⑭(テント場)へ戻るのは道が判然とせず、
大幅に遅くなるだろうということだ。
時間内完走は無理としてもまだいけるかな?と思っていた自分は⑨まではいかないか?と提案するが、
Kさんと共に、ここでリタイアを二人選んだ。
暗くなる前にテント場へ到着する。これはこれでもちろん正しい判断だと思う。
《リザルトから検証》
リザルトを見ると、スタートから⑧をとるまでに7:11かかっている。
ギリギリの完走組は6:49で⑧を取り終えている。
ここからは《タラレバ妄想検証》
もちろん判断、トラブル含めてが実力なので、
「これが自分たちの実力だった」ということを否定するつもりはないので悪しからず。。
⑦を13:30(5:29)に出てから同じような走力の組が⑦→⑧を1:00程度でとっていることから
本来なら⑧は14:30(6:29)~14:45(6:44)にはとれていたと思われる。
その後、車道の切れ目に戻れたのが16:00(7:59)。
ここで1:15~1:30程度のロスが出てしまっている。
・二人がはぐれてしまい往復してCPとるまでに⑦13:30(5:29)→⑧15:12(7:11)
※1:42かかっている
・その後、笹薮に突っ込み、地図をなくし捜索して車道切れ目に戻る⑧15:12(7:11)→16:00(7:59)
※0:48かかっている
上記の2つのミスがなければ間違いなく90分程度は確実に短縮されていたはず。
そして、それは最後尾の完走22チームを上回っていて(下から2~3番目)おり、暗くなる前に⑨へ向かって、
その先のコントロールポイントを狙っていたはずなのだ。
まぁ、結果的には完走22組とその後の僕の走力が同じなわけではないので、
関門時間には間に合わない可能性が高かったが。。。
なにはともあれ、残り2:00を残して余裕をもってのリタイアを決めた。
そして、今思って残念なのはこの時点で明日へのモチベを失うような話になり、
「明日は直接ゴールへ歩いて帰るか!」
「キャンプすらしない組もいるよ!」となってしまったこと。
もちろんこれも二人の考えなので結果的にそれがどうということではないのだが、
この考えは本当にもったいなかったと後からふつふつと頭をもたげてきた。
たとえ速く走れなくとも、歩きだったとしても、続行不能でなかったなら続行すべきだったのだと。
次回参加できるのであれば、1日目も、2日目も同じように精一杯その時できることを
目一杯力を出すということに集中したい。
このレースは、『精一杯やりきった』ということが重要なのだと今では思える。
そう。
たとえ負けるとわかったとしても、『ファイティングポーズは崩さなかった』というその一点のために。
この時はもちろんそのようなことは思うことはなく、
とにかく気持ちを今夜のテント泊へ切り替えてゴールへ向かった。
当然走る必要もないわけで、歩いていて寒くなったら少しジョグするくらい。
結果的には判断して40分ほど歩き8:39でFinish Lineを越えた。
《リザルトから検証》
リザルトを見ても、我々と同じように考えて⑧からゴールへ向かったのは13組いた。
7:00台で⑧を取り終えた組がその先へ向かった組は11組いた。
その内、時間内にゴールできた組は0組(一番惜しかった組で25分オーバー。。)
つまり今回の16:00から次を取りにいかないという合理的な判断は結果的には間違っていなかった。
だが、2日目の判断については今となっては悔しいのみ。
Day0(■)
Day1(■)
Day2(■)
OMM Result(■)
来年に向けての備忘録的な意味も込めて、
今年の自分たちがもしスコアロングの選手だったら?という視点で検証したい。
なぜなら、ストレートのコントロールポイントはそのままスコアのコントロールポイントを兼ねているからだ。
そして、それらは稜線上及び長距離の走行を強いられるため多くのスコアラーは選択しないが、
難易度の高く、高得点ポイントばかりだが、行けるかいけないかわからないため選択しづらいコースなのだ。
つまり、実際に選択は難しいが、ストレートのポイントをスコアに置き換えてみたら?という仮定。
<カテゴリ>
スコア Long class 制限時間7時間
これは7時間以内にゴール⑭へ到着していなければならないことを意味する。
とても都合のいい話ではあるが、ここで下記のことを仮定する。
・ストレートと同じポイントを廻る判断ができたと仮定する。(確実にこの判断を迷うはず)
・ストレートと同じペースで走ったものとする。(今回のタイムを基準にする)
上記の仮定が成り立ったとすると、
①=21、②=55、A=87、B=59、C=65
※道中に50があるため取ったと仮定
※D=77はとらなかったと仮定
※実際は37をまず取りに行ったと思うが時間にブレが出るため今回は省く
合計=337
⑦(①)=21へ戻ってきたこの時点で時間は5:29。
※⑧の車道の切れ目からゴールまでは歩いて40分
ここからはストレート同様⑧=31へ向けて走るが、道中のポイント39を拾いつつ、
車道分岐へ着いた時点で⑧はあきらめてゴールへ向かう
39、35、11、10→Finish。
合計=95
総合計=337+95=433 1日目順位=30位/136組
別のルートだとしても
37、33、11、10→Finish。
合計=91
総合計=337+91=428 1日目順位=30位/136組
道中どんなトラブルがあるかわからないということもあるし、二つの仮定の上での空論ではあるものの、
走ることを前提(しかも自分程度)としたルート選択として非現実的なコースではないと思える。
そして、もし時間通り行けたなら1日目の結果としてはかなり良い結果だと思う。
つまり、僕程度の走力でも上記の結果は出せたかもしれないということだ。
このルート選択方法は次回に役立つかもしれない。