6日目。
今日はとうとう槍ヶ岳に登るのだ。
Day1(■)
Day2(■)
Day3(■)
Day4(■)
Day5(■)
Day6(■)
Day7(■)
SectionA(八方尾根~親不知)(■)
SectionB(八方尾根~上高地)(■)
今日のルートは、
双六小屋(テン場)~西鎌尾根~槍ヶ岳~大喰岳~中岳~南岳~南岳小屋~大キレット~北穂高小屋~涸沢岳~穂高岳山荘(テン場)
とこんな感じ。
双六小屋でテントの入り口をあけると、
同じKhufuオーナーのSさん、Oさんは先に出発してしまっていた。
いつも朝が遅い。。
いつものワッフルとスープを飲み、トイレを済ませ、
準備運動をしたら5:00頃出発。
薄暗い中、朝陽が登るのを横目に硫黄岳へ30分程歩くと、
だんだんと空が焼けてきた。白けるまでのホンノ10数分だと思う。
槍ヶ岳は照らされ、次第に陰になり、
完全にシルエットになってしまい、今までで一番美しい槍ヶ岳を見ることができた。
この光景には感動した。
マジックだ。
今日は槍ヶ岳に登るのだから当たり前なのだが、
見たことないくらいに大きな槍ヶ岳があらわれてうれしくなる。
なんせ槍ヶ岳は眺めてばかりで初めて登るのだから。
槍ヶ岳、槍ヶ岳の日だ。
硫黄岳を過ぎて、西鎌尾根に入ると若干足元も歩きにくくなる。
アップダウンの激しい尾根筋を歩いていく。
空は若干の曇り気味。
テン場で聞いた感じだと、もしかしたら今日は夕方雨かもとのこと。。。
キャンプ場に到着するまでに頼むから雨は降らないでほしい。
西鎌尾根の後半はザレた足元になっていく。
「ズッズッ」と足下をいわせながらなんとか上に上にと登っていく。
振り返ればここまで歩いてきた’履歴書’ともいえるような峰々が一望できる。
そうそう。
もう見えなくなってしまった山々も槍ヶ岳のピークに登れば見えるのかもしれない。
でも、山の位置と山の名前がイマイチ覚えられないのが悩み。。
7:30頃、千丈ノ乗越を過ぎたところで、見上げた右側に槍ヶ岳山荘。
そして左側でそびえるのが槍ヶ岳。
近くで見ると、遠くから見るよりはそのとんがりは鈍ってみえる。。
でも北アルプス全域のハイカーはきっとこの山に憧れてるんだろう。
途中、カップルに出会い、少し話をした。
カップルは今日は下山でわさび平の方へ下りていくそうだ。
自分はできれば穂高岳の方まで足を延ばす予定と話をすると、絶句していた。
そんなになんだろうか?ま、確かに穂高方面は遠いか。。
それよりなにより目の前の山だ。
槍ヶ岳山荘には寄らずに、一気に槍ヶ岳を目指す。
眼下には、日本で2番目に高い山荘の槍ヶ岳山荘。
思っていたよりもデカイなー
さらに谷側へ目を向けると、東鎌尾根に建つヒュッテ大槍と、その下に殺生ヒュッテ。
どちらもすごいところに建ってる。
今度は殺生ヒュッテにテン泊してみたい。
さて、上を向いて登ろう。
槍ヶ岳は結構な急勾配。
そして、団体様の渋滞がすでにできている。
なるほど。
でも、登りはじめたら、色んなところに装置が気配りされた、「観光地」という印象だった。
これで、クサリもハシゴもなければかなり難関ではあるけど、
過剰な程に人工物がついていることに少し違和感。。
でも、その分、ものすごい数の人が登るのだからそれもしょうがないな。。とか思いつつ
おばちゃん連中の渋滞と嬌声にうんざりしながら10分程待っていた。
8:30。
念願の槍ヶ岳ピークに登った。
渋滞のせいか、嬌声のせいかはわからなかったが、そんなに感慨深くはならなかった。
それでもやっぱりこの界隈で一番高いところへ登ったということに対しては嬉しさが溢れた。
6日目にして天気が崩れてきてしまったので眺望はのぞめなかったんだけど。。
そうしているうちに、双六で出会ったSさんとOさん夫妻が別々に同じところへ!!
これには結構興奮した。
Khufuメンバーみんなで一枚集合写真。
なんかみんなで登ったみたいで嬉しかった。
グループだとこんな気分か。
うん。これも悪くない。
それにしても、皆さんザックは置いてくるものなのね。
背負ってるのは自分だけ。。
ひとしきりピークを満喫して先へ進むことにした。
下りると、すぐそばに30分前におりていった団体さんが。
そりゃ、渋滞するわ。
別ルートを辿ってするすると取りつきまで下りていった。
Sさん夫婦は東鎌尾根を通って大天井岳の方向へ。
常念岳まで行って横尾、そしてまた穂高を登り返すみたい。
元気すぎる。そして、奥さんは女性なのにスゴ過ぎ。
10:00前。
Sさん夫妻とお別れして、僕とOさんは大キレットの方向へ。
まずは南岳を目指して歩き出す。
いよいよ後半戦へ向けてラストスパート。
残念なことにここでカメラの電池が終了してしまい、ほとんど写真がない状態。。
そして、ちょうどポツリポツリと雨が降ってきた。
なにもかもが残念すぎる。。
今回は、万が一雨が降るかもと例のカーボン骨の98g傘と
傘は風の弱い稜線までが使用限度。
簡単に骨がひっくり返るので通常ならイラつくところだが、
逆に言えばかなり安全に使える。
SOLエスケープビビィは寝袋カバーと温度域ブーストとしてきたが、
ザックカバーにも使えるとにらみ、ザックカバーは置いてきた。
結果は△。
なぜならシームしてくるのを忘れてきたから。。。
概ね雨は防げたけど、完全防水にはならなかった。(縫製部からの浸水あり)
そしてもう一つは、MYOGったレインスカート。
アイデアはほとんどパクリだけど、マイGEARなんだから気にしない。w
ステッカーカスタムが気軽に出来てお気に入り。
これはタイベックのブラックバージョンなんだけど、
腰回りを暖めてくれて、防水は完璧。メチャクチャ良かった。
Picがなくて残念だが、11:00には南岳に到着。
雨が降り出してきてからガスがすごい。先を見通せないような状況だ。
ここまで、ゴジラの背中のような岩だらけのところを必死に滑り落ちないように進んできた。
晴れならばグリップも効くようなところが、完全にスリッピーな足下になっていた。
一度本当に滑ってしまい、滑落しかけてしまって冷汗が吹出した。。。
11:30。
なんとか南岳山荘に到着し、
濡れたものを乾かしながら手軽なラーメンすすり、エナジーバーをかじる。
気温は雨の中6-7度だったんじゃないかな。。
あーあ。雨だよ。
実は、南岳でコンディションが良ければ、
この先のジャンダルムへ行くつもりだったんだけど、また来ればいいや。
それより目の前の難関を乗り越えないと。
ラーメンとチョコとストーブの暖かさでなかなか小屋を出ることができない。
少し乾いたJKをかぶって、「大キレット行ってきます」と近くの人にいうと、
聞こえた人たちから拍手と、心配の顔をもらってしまった。
雨の大キレットだもんな。そりゃそーだ。
いつまでもいると踏ん切りもつかなそーなので思い切ってドアを開ける。
さみーーー。
雨の大キレットは本当に危なかった。
早めにきた雨に毒づきながらヤバいヤバいと忠告された大キレットに潜入。
何度か滑り、足を打ちつけ、岩を掴み損ねた。
足元がスリッピーなだけでこんなに難しくなるのか。
そして、晴れないガス。
何度もヒヤヒヤしながら登って下りてを繰り返す。
ロープとクサリをつかみ、全体重を預ける場面が何度もある。
乾いていればつま先が引っかかるであろう場所でも、
雨で滑ってグリップの摩擦が足りず、足を安心しておくことができない。
岩と岩の間に足をねじこんで飛びつかまる岩もあった。
足を滑らせれば、谷底からオハヨーゴザイマスで、ホントに朝のNEWSの仲間入りだ。
というか、発見まで至らない場合だってある。
実際に、ズリズリとやってしまいつつ、
ひとりで「わぁわぁ」言いながら集中力を高めていく。
アドレナリンの分泌具合が一線越えたみたいになる。
ゾクゾク感が既に気持ち良い。生きてるって感じた。
この時は「あのとき」だった。
書ききれないが、ただでさえ危険なところに加えて、雨が故の危険はそこかしこにあった。
でもでも。
「残雪の不帰嶮」と比べれば、全て少しだけマシだった。
ここはイケるなと確信が持てた。
キツくて本当に危なかったけど、想像を越えるようなドキドキはなかった。
人の通ったことのある道だったからかもしれない。
やっぱり、あの「残雪の親不知への旅」で自分の中の基準が変わってしまっていたと思う。
思い出せば2日目の「G4・G5&八峰キレット」だって、
あれが初めてなら冷汗ものだろう。
そして、今回の「雨の大キレット」だって
下手したら足がすくんで助けが必要となっていてもおかしくない気もする。
でも、そうならなかったのは「残雪の不帰嶮」を越えることができていたからだと思う。
こうやって限界は広がっていくのかも。。。
そんな大キレット、長谷川ピーク、北穂高岳を越えると次は涸沢岳だ。
既に時間は16:30。
槍ヶ岳山荘を10:00に出てきたのでここまで6時間以上も雨の中を岩と格闘していたのか。
雨の中、JKの撥水力が落ちて内部結露で体が濡れてしまっていて寒くてかなわない。。
下を見ると紅葉満載の涸沢ではないが、それでも雨の涸沢は美しかった。
まだまだ涸沢岳へ向けて先が続く岩の稜線。
若干、吐き気さえ出てくる。。。
涸沢槍を越えて振り返ると、さっき登った槍と涸沢のコルが一望できた。
槍ヶ岳をでて、雨が降り出してきてから初めてガスが一瞬だけ晴れた瞬間。
ここからは少し我慢すれば穂高岳山荘だ。
暖かいものを食べて、ゆっくり休もう。
穂高岳山荘ではよっぽど小屋泊まりにしようと直前までは考えていた。
でも、ここまでずっとテント泊してきたのに、なんかここで方針変更というのも違う気もして、
結局テント泊を選んでしまった。
外へ出ると結構な風を感じる。
ぶるぶると震えながらテントを設営して、再び小屋の休憩所を利用させてもらった。
体の震えが止まらない。
今から考えると低体温症になりかけていた気もする。
ストーブにあたりながら、濡れた衣服を乾かしてずるずるとカップ麺を食べる。
過去最高のカップ麺の味!
少しずつ体も温まってきたところに、目の前のハイカーからウィスキーの差し入れを頂いた。
さらに体を温めることができてこれが非常に助かった。
このおじさまとはなんと小屋の消灯時間まで酒を飲んでしまった。
消灯時間で小屋を出て強風の中テントへもぐりこんだ。
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